母と娘のひそやかな愉しみ
| 森 由美
朝夕に秋の気配を感じる頃となりました。
みなさま夏の疲れは出ていませんか?
シンラインの森です。
今年になり(この歳になり)、新たな楽しみを見つけました。
見つけた、というか、再発掘した、というか……
きっかけは、今年86歳になった母からの
「スマホで百人一首調べられる?」の一言でした。
「半紙がいっぱい出てきたけん、書こうかと思って」
とのこと。
半紙1枚に4首書けるかな、などと話し合いながら、
私は別のことを考えていました。
「100首、覚えてみようかな」
私がだいたい半分ぐらい覚えたころ、母は100首書き終えていました。
1枚に4首、半分に折って綴じることを考えて書くようアドバイスした
甲斐あって、なかなかの出来。
さっそく表紙に使う和紙を買いに行き、製本。
学生時代は試験に必要なところしか見ておらず、
全部覚えようなどという気持ちはさらさらありませんでした。
覚えることより忘れることの方が
多くなった年齢になってからの挑戦。
ゴールは果てしなく遠く、
たどり着くことなどないと思いながらの3か月。
しかし、どんなことにも終わりはあるもので。
覚えきってからの3か月で定着を図り、現在に至ります。
現在、母の「百人一首」は8冊を数えましたが、
まだまだ書く意欲は留まるところを知らないようです。
私も製本するのに慣れ、そう時間をかけることなく
完成させることができるようになりました。
一人暮らしの母を訪ね、
「この歌の、これはどんな意味?」「87番が好き」「私は ’瀬をはやみ’ やな」
などと語り合いながら過ごす時間が、
今の私の、大切な楽しい時間となっています。